【仕事が増えても忙しくならない方法 — 俯瞰(ふかん)– 】
口癖のように「忙しい、忙しい」と言う人がいます。ある時間帯だけ忙しくなるような仕事だと、それはそのとき本当に忙しいのでしょうが、ちょっと立ち止まってよくよく考えると、そんなに忙しいわけではないこともあります。
そういう人は「忙しい」ということばで自分を仕事に追い込んでいたり、周囲の人へのデモンストレーションだったりします。
仕事ができる人がフル回転しているところは、見ていて確かに忙しそうで、しかもある意味で美しかったりします。たとえば、寿司職人さんがカウンターの注文の他に、出前の寿司なども握っていて、ものすごいスピードで働いているところなど、うっとりと見とれることさえあります。
けれども、中には、バタバタと忙しそうにデスクワークをしているようなのに、いっこうに書類も何もできあがってこない人がいます。机の中をあちらこちらなにかを探していたりする、そう、整理の悪い人などです。
こういう人は忙しくしているのは自分の整理の悪さだということに気づかなったりします。仕事を処理する順序が悪い場合にもはかどらないものです。
そして、残業をしたり、休日出勤をしていたりします。
人間、休まなければ能率は上がらないものです。忙しいのにいっこうに仕事が進まないなと感じたら、いっそのこと人より働かないことを考えてはどうでしょう。
少しゆっくりと仕事を見直してみると、やみくもに処理しようとしていたときとは違って全体が見えるはずです。残業もやめて、自宅に仕事を持ち帰るのもやめます。すると、時間内にしっかり終わらせようと、集中してできるのではないでしょうか。
自宅に帰ったら仕事のことは一切考えません。子どもの相手や趣味にでも没頭するのがいちばんです。風呂でのんびり鼻歌を歌うというのもリラックスできて効果的です。翌日、すっきりした頭で仕事を見直したら、もっと効率的でいい方法が見つかると思います。仕事のことばかりを考えていたら、けっして効率は上がらないのです。
こうなると、仕事がどんどん増えても効率的にさばく方法、コツがつかめてきます。バリバリ集中して仕事をこなし、定時にピッタリと帰り、休みの日にはしっかり休む、そのほうが仕事はきちんと処理できるはずなのです。
【思い切ってやってみる秘訣】
–できないはずのことを「やる」ことの意味 —
仕事の上で、ちょっとでも高度なこと、やったことがないことを依頼すると、最初から「できません」と言う人がいます。時間がないとか、できない外国語を翻訳しろとかいうのではんく、やってみればできる可能性があるものでも、そう言うのです。
理由は、「やったことがないから」という場合がほとんどですが、これはちょっと考え方を変えてみたいと思います。
会社に入社したときに、その人は、最初から仕事ができたでしょうか。やったことがなかったのですから、基本的にできなかったはずです。それでも、仕事ができなければ困りますから「やってみよう」とチャレンジし、努力してきたわけです。
それと同じことだと考えるのです。「やったことがないこと」=「できない」
ではなく、「やったことがない」=「やってみよう」と考えます。「できないのではないか」と自分を疑っていては、できるはずのことも実現しません。
よく、背中を押すといいますが、ドン、と自分を前に押し出すつもりでトライして見るという発想です。
だれにでも、思いもかけずに成功を収めた経験があるでしょう。そんなときの幸福感を思い出すのもいでしょうと。とくに頑張ったわけでもないのにテストの点がよかった、とか、何気なく描いた絵を褒められたとか、小さな幸福感でいいのです。
幸福感を感じるとヒトの脳内にさまざまな物質が発生します。お花畑をイメージするだけでも心が安らぐのはそういった物質の影響です。心地よさを感じ、安らぎと自分に何かができるという積極的な気持ちも生まれます。
かわいい赤ちゃんを見て、憎しみを覚える人はいません。むずかしそうな仕事も、育てれば大きく成長して自分に幸福をもたらす赤ちゃんだと考えればいいでしょう。
細かい仕事でも、たとえば自分が一万円札を作っているとイメージすると、なんだか楽しくなってくるから不思議です。
あうのがイヤな相手でも、お金をもたらすスイカかダイコンくらいに思えば、スイカにクレームを付けられてもまったく気にならないものです。
やってみるチャンスがあることは、そうでない人に比べて恵まれていることも確かです。「ダメでもともと」と思い切って前に一歩踏みだしてみましょう。
【いやなことをやってみる秘訣】
–見方を変えれば面白いことにもなる–
仕事を長くやっていると、イヤなことというのはどうしてもあります。人によっては、朝、ふとんからからでるのがいちばんイヤ、という人もいますが、なんといってもイヤなのは、ミスを上司に報告したり、不始末について外部の人に謝ることでしょう。
自分にあまり責任がない場合は、たいしてプレッシャーにもなりませんが、重大なミスを犯して、もしかしたら自分が弁償することを求められるかもしれない、などという場合は胸が苦しくなるほどイヤなものです。
そういう場合、さっさと謝ってしまうのがいいのですが、電話をするのもイヤでずるずると時が経ったりして、謝るタイミングを失ってしまい、よけいに事態が悪化することがあります。
さっさと謝るコツは、いち早く謝るシュミレーションをしておくことです。どこか、人気のない公園ででも、立木に向かって「申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げる練習をするのです。
そんな時間がない、という場合は、謝りの言葉をメモ書きします。メモにすると、こう言ったほうがいいか、とか、このほうが低姿勢だな、などと客観的に見ることができるので、冷静になれます。
そうやって必死に謝っている自分を想像したら、意外に落ち着けるものです。
なにごとも客観的に見れば大したことではないのです。
イヤな仕事がある場合には、ラクな仕事、やりたい仕事を先にやってしまいがちです。けれども、そうすると、ラクな仕事のあとにはイヤな仕事しか残らないので、ますますイヤになってしまいます。
イヤな仕事もこなす秘訣は、それをとにかく先にやってみること。やってみたら、意外に大した手間ではなかったり、電話で問い合わせるような場合でも、トントン拍子に話が進むこともあります。
イヤだな、と思っていたことがそうでもないと、反対に楽しくなったりもします。「イヤ」だったのは「正体がわからない」からだったのです。
とにかくやってみる、それが大切です。その正体がわかれば気持ちも軽くなり、ラクになります。もし、予想通りにイヤな仕事だったとしても、それさえすませれば、あとはラクな仕事ややりたい仕事があるわけです。