
感覚的、知的刺激を与えることで解消する
ストレス解消法の「T」はトラベル、つまり旅行です。旅の恥は掻き捨て、とばかりに羽根を伸ばせば、日常のストレスなど吹き飛んでしまいます。海や山、渓谷(けいこく)、川下りなど、観光地のコースを回るだけでもずいぶんとストレスは消え去ります。いい風景やいい空気、面白い体験の感覚的刺激がストレスを粉々にするのです。
そういった本格的な旅行でなくても、手軽に実行できるのが知らない街に行くこと。
これは、なにも遠くの街でなくてもいいのです。通勤途中の駅でも降りたことがない駅があります。電車の窓から見ているだけでは、その街の本当の魅力はわかりません。
思い切って、まったく降りたことのない駅で、降りてみて、歩いたことのない街をあてもなくさまようわけです。途中に適当な駅がなければ、下車駅より少し遠い駅に遠征してもいいでしょう。
どこの駅前のスーパーも地元のスーパーとは違った並べ方で面白いものだし、昔ながらの商店街の八百屋や果物屋、乾物屋などをのぞくのも興味深いものです。職人さんがなにか軒先で作っていたりもします。
古書店なども、地元の店とは違う傾向があったりして愉快です。意外に堅い哲学などの本がそろっていたり、思いがけず探していた本を見つけたりできます。
公園などでも、渡り鳥のカモが訪れる池があったり、子どもたちが遊べる立派なアスレチック施設があったりといろいろな発見があります。思わぬところに歴史的に貴重な旧家や記念館などの施設があったりもします。
適当に散策したところで、よさそうな店構えのそば屋やカレー屋に入ってみるというのも非常に効果的。ストレス解消法の「E」はイート=食べる事ですから、さらに感覚的な刺激になります。どの街にも、老舗っぽい古い店構えのそば屋やすし屋、気の利いていそうなカレー屋などが一軒や二軒あるものです。
もし、その店の人がひまそうなら、この店や街の由来などを聞いてみるのも面白いものです。テレビの「ぶらり旅」のリポーター気分です。
なにしろ、その街の人は自分のことを知らない人たちばかりですから、何も気を使うことがありません。本当の旅行気分で歩いて食べて、気分をスッキリさせることができるのです。
【ストレスを消す方法⑤・読み忘れていた本を読む】
置き忘れてきたものを再発見するという解消法
ストレス解消法というと、サラリーマンの場合、飲み屋で酒を飲み、「グチ」や「悪口」を好き放題言う、というパターンがあります。酒を飲むということは、適量であれば健康維持にもいいとされていますから、それで、ストレスが発散されればそれに越したことはありません。
ただ、多くの場合、ストレス発散のために飲酒をすると、どうしても深酒になるきらいがあるようで、悪酔いしたり、健康に害が生じたりすることもあります。いつもそういう酒の飲み方をしていると、アルコール依存症にもなりかねないので、疑わしい人は、できるだけ酒量を抑える、または、きっぱりやめるということも必要です。
あくまでも気分よく、楽しく飲める酒が適量ということで、そこで、自由に交わす会話が知的刺激となり、ストレスを解消してくれるのです。その前に、そういった楽しい時間を共有できる仲間といるだけで、癒されるはずです。
知的刺激といえば、なにか面白い本に没頭することも、、つまらないストレスを忘れさせてくれます。
だれでも、読みたいと思って買っていながら、10年以上開いてもいない本というのがあるもので、よく「積ん読」などといわれますが、やはり積んでおいただけでは読んだことにはなりません。
解消法の「R」レクリエーションですが、本を読むということはレクリエーション=「快楽」であると思います。学校で勉強をしているときには、半ば強制的にいろいろな難しいい内容の本を読まされるので、本を読むことを苦行であるかのように感じている人もいます。
けれども、自由に読みたい本を読むことができるということは、たとえば、日本では戦後ようやくそんな状態になったわけで、今でも世界には、読みたい本が禁止されていて読めないという国もまだまだあります。
昔買って、半ば忘れていた本は、自分の原点に戻るという意味もあります。なぜその本を買ったのか、そのとき何を考えていたのか、どんな未来をイメージしていたのかといったことを考えながら、忘れられていた本を読むと、過去に回帰できるわけです。
過去の自分と対面するつもりで読むと面白いでしょう。
【ストレスを消す方法⑥・どこでもいいから掃除する。】
–昨日より一ミリでもいいから前に進む–
ストレスの原因となっているものを分析してみると、よく、仕事などが忙しすぎて部屋の掃除ができないことなどが含まれています。そのほか、洗濯物がたまっているとか、キッチンの洗い物がそのままになっているといったことが、意外にストレスとなっているのです。
どうしてそんな単純なことがストレスになるのでしょう。部屋はいつか掃除すればいいし、洗濯物も、洗い物も時間ができたときに処理すればいいのです。
そういったことがストレスになる人は一気にすべて片付けようと考える人のようです。一気に処理するのは難しいので、少しづつ処理すればいいのですが、そこに手をつけられないのでイライラするのでしょう。
たとえば、友人からの手紙に返事を書かなければならないとか、自宅にたまった新聞の記事を切り抜くのを急かされているとか、なんとなく心の負担になるようなこともあるでしょう。
本来なら、手紙をやりとりする友人がいることはいいことだし、新聞記事を切り抜くのは、仕事にも役立ち、自分の勉強にもなっていいことなのです。
それが負担になるのは、どこから手をつけていいのかわからない、ということが原因になっています。
仕事にかまけていると、家の中にはいろいろな不要品が溜まってきます。そういうガラクタは、一気に捨てるというわけにも行かず、なんとなく溜まるのです。
そんなガラクタ=捨てなければならないものが溜まったときには、どこからでもいいので掃除を始めます。最初は大掃除のつもりでなくてもいいのですが、恐らく、一度始めると中掃除くらいになるでしょう。
長年しまっていた荷物なども、10年も使っていないのであれば、きっと次の10年も使いません。思い切って処分してしまいます。燃えるゴミ、燃えないゴミ、いろいろなゴミの中には、処分費用がかかるものもあります。
徹底的に処分するのも、少しづつ整理するのも、最初は手近なところを整頓するという第一歩が重要です。
溜まっているゴミがストレスなら、なにしろ少しでも手をつけるということが必要でしょう。