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脳の存在が世の関心をひいている。

頭のよさはだれもが、望むものだが、それが脳の機能を高める事とほぼ同義だからであろう。しかも最近、脳のしくみが急速にに解明されている。脳のどの機能を活性化すればどんな現実的な能力がアップするのか、またそのためにどんな刺激が必要なのかを知りたいのは当然である。

だが、脳は、あるカプセルを飲めばよくなる、というほど単純なものではない。ある食品や薬品を摂取すれば痩せられる、というのが間違いであるようにだ。

そこで、この記事では、能力をアップするための、あるいは、維持し衰えを防ぐためのノウハウを、多角的にあらゆる面から考えてみた。

むろん、これは平均的な「公式」である。個人差というものがあるから、人それぞれ応用の仕方は異なるであろう。

だから、本記事の公式をベースに、各人の最適な脳刺激法を考えていただきたいと思う。

もちろん、いくら能力が高まっても、あるものが欠けていては「成功」はおぼつかない。それは気力と意欲である。

積極性こそすべての成功につながるのである。

さらにもう1つ追加すれば、それは楽観度といえよう。人間は多かれ少なかれ、、ときに挫折することがある。

そういうときに再び立ち直るパワーの原点が、みずからを励ます楽観度である。

なにごとも悲観して考えないことである。

本書では、そんな意欲や楽観が、脳のどこから湧き上がってくるかについても触れた。

なぜ若者のボケが増えているのか

今の若い人が社会の中堅になるころ、日本には超高齢化社会が到来している。現代でも100歳以上の人口が7500人をとうに超したことでもわかるように、高齢者の数は増加の一途をたどっている。二十一世紀に入ると、要介護高齢者は375万人に達する一方、子どもの数は一世帯あたり1・5人を割ってしまう。

若年層が減り続けるということは、今の若者たちは高齢になっても労働力のかなりの部分を引き受けざるを得ないという事だ。

人間、長生きするのは結構な話だ。秦の始皇帝が不老長寿の食品を求めて日本に徐福という人を派遣した「伝説」があるように、長寿は人類の悲願であった。

それが今や達成されつつあるが、喜んでばかりはいられない。当然の帰結ながら老人性痴呆症が増え続け、まもなく200万人を超すという勢いだ。

体がしっかりしていても、頭脳がボケては意味がない。まだ若いうちから脳を鍛えることを心がけねばならないのだ。

その中核は、廃用性萎縮を避けることである。

「使わないとダメになる」という考え方だ。つまり、脳を鍛えるということは、頭を使い、体を使うということである。

痴呆の原因は、脳細胞の減少と、血管の老化の2つに集約される。欧米の痴呆は脳細胞の減少、いわゆるアルツハイマーが多いが、日本もしだいに血管性の痴呆が減り、アルツハイマーが増えてきた。欧米型に近づいているのだ。

本書のやり方で、長い目で見た脳の管理をも始めてもらいたいと思う。