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button-only@2x 気の小さい人の話し方に、いちいち腹を立てるな

「ダイエット中だったんですが、昨晩は久しぶりに旧友に会って、大いに飲んで食べてしまいまして、きょう体重計に乗ったらビックリしてしまいました。二キロも増えているんだもの」といった話を聞けば、すかさず「だから、あなたは意志が弱いっていうんだよ。その意志の弱さが仕事にも出るんだなあ。最後までやり遂げられない。途中で投げ出してしまう。だから出世だって、できないんだ」と突っ込んで、人の言葉の揚げ足を取る人がいる。こんないい方をされて、楽しいはずがない。

ところがこのタイプの人は、だれ彼かまわず皮肉をいったり、なじったりするわけではない。自分よりも目下の人、力の弱い人であれば大いに揚げ足を取ろうとするが、

相手が自分の上役であったりすれば、「そうですか。でもたまにはいいんじゃありませんか。きょうから、またダイエットに励めばいいんですから。じつは私もダイエットにチャレンジしたことがあるんですが、三日で挫折しました。私はやっぱり、意志が弱いんですなあ、ははははは」と態度が変わる。なかなか器用な人ともいえる。

相手との力関係を考えて、ときにはオベッカをいったり、揚げ足を取ったり…人を見て話し方が露骨に変わる人には、小心者が多い。そう思えば、いちいち腹を立てることもあるまい。

【話し方のツボ】オベッカも皮肉も、いう人の人格を下げている。

①目下の人のいうことには、つい皮肉をいってしまいがち。その皮肉で信望を失う。

②目上の人には、ついオベッカをいってしまいがち。そのオベッカで評判が落ちる。

③小心者のジョークは、相手にとってはオベッカや皮肉に聞こえることが多い。

④オベッカや皮肉をいったからといって得をすることは何もない。

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44 話の腰を折ってはならない、オウム返しもマイナス印象

「話の腰を折る」、この必殺技を得意とする人がいて、「先日、北海道へ家族旅行へいったんですよ。それでね」と相手が話し始めたときに、「僕はロンドンへいってきたんですが、いやあ驚くべきことがありましてね」と自分の話を始めてしまう。

「ヨーグルトが好きなの」という人の話に口をはさんで、「ヨーグルトは太るのよ。知らないの? そんな食べ物の話よりもさ」と、相手から話題を奪い取ってしまう。

これは人間関係のルール違反だ。あなた自身が話の途中にだれかに口をはさまれ、さっさと話を持っていかれたら、「なによ、この人」と、不快感が胸に渦巻くだろう。

相手の気持ちを思いやることができれば、人の話の腰を折るなどというルール違反は慎むようになるはずだが。

相手の言葉を、ただオウム返しに繰り返すだけの人もいる。「北海道にいってきたんです」「北海道へいったんですか」「ヨーグルトが好きなの」「そう、ヨーグルトが好きなの」と。相手の話の腰を折るよりはマシなのかもしれないが、その話し方が感情のこもらない言葉の棒読みのようになってしまうと、これはこれで印象が悪い。

実感を込め、「北海道へいったの? 今の季節はきれいでしょう?」と、相手の話を少しだけふくらませて返すのが話し方のコツだ。

【話し方のツボ】相手の話は少しふくらませて返す。

①人の話の腰を途中で折らない。わがままで強引な印象をあたえてしまうから。

②好きな話題でしか相撲をとらないのではなく、聞き上手な人は相手の土俵で相撲をとる。

③人の言葉を、ただオウム返しにしない。冷たく自分本位な印象をあたえるから。

④「へえ、そうなの」ではなく、「そうなの、楽しかったでしょう」とひと言加える。」

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45  疑り深い話し方が、かえって信用をなくしている

営業部の新人社員が取引先へ挨拶に「一生懸命がんばりますから、よろしくお願いします」というと、相手は「その言葉、ほんとうに信じていいの。ほんとうに一生懸命にやってくれるの」と、おそらくは、そんないい方で、一生懸命にやってくれないと困るよ、とハッパをかけているつもりなのだろうが、ちょっとイヤミではないか。

ハッパをかけるなら、「こちらこそよろしく。がんばってね」といえばいいではないか。

家電量販店の店員が「ご購入のさいは、ぼくに声をかけてください。がんばって、特別にお安くしておきますから」という。その言葉に「ほんとうに安くしてくれるの。あなたに、そんな権限があるの」と、尋ねる。これも、たぶん「がんばって安くしてよ。お願いだよ」という意味でハッパをかけているのだろうが、イヤな感じだ。

安くするといっているのだから、「頼んだよ。信じているよ」でいいではないか。

男女のあいだでもよくある。「あなたのこと好きです」という男性に、「ほんとう?そんなこといって、私をだますつもりでしょう?」といって、じつは「そんなことないよ。ぼくには君しかいないんだ。心の底から君を愛しているんだ」と男性にいわせたいのだろう。

しかし、ご注意あれ。「ぼくを疑っているのかい? ぼくを信じられないならいいよ。さようなら」とも、いわれかねない。

人の言葉は、まずは言葉通りに信じてみる。信じるから、相手は誠実に応えようとする。

【話し方のツボ】相手の言葉を信じてこそ、その人は誠意を尽くそうとする。

①「ほんとうに、だいじゅうぶ?」ではなく、「信じているよ。がんばって」の話し方。

②「ほんとう?」という言葉をヘタな駆け引きに使わない。墓穴を掘ることもある。

③「ほんとう?」が口癖になっている人は要注意。口癖が印象を悪くしている。

④疑わしくても、まずは信用する。しかし嘘であったときの対策も考えておく。

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46 聞くのがうまい人が、話がうまい人になれる理由

聞く力がない人には、話す力もない。

たとえば酒場などでいつも同じ話をして、周りの人は「また、あの話が始まった」と辟易(へきえき)している…そんな人も、聞く力がない人といえる。

聞く力のある人は、いつも興味しんしんに「この人は、どんなおもしろい話をしてくれるだろう」と耳をそばだてているから、知らず知らずに豊富な話題を仕入れている。だから、いつも同じ話で人を飽きさせることはない。

また聞く力のある人は、人と仲よくなる。

相手がどんな人なのか、どういう考えを持っているのか、仕事は、趣味は、家族はといったことを、よく聞き出しているから、それに合わせて「この人には、こういう話をすれば打ち解けることができそうだ」というアイディアも出る。

聞く力のない人の話は、とかく一方的に自分の思いをしゃべりまくるだけだから、

「私は、違うと思います。そうは思いません」などと、相手と意見が衝突してしまうことになる。社交的で、たくさんの人から好感を持たれる人は、みなさん聞き上手だ。

話題が豊富で、また人と話を合わせることができるからだ。

話し上手になりたかったら、まずは人の話をよく聞く訓練から始めよう。

【話し方のツボ】話し方のうまい人になるために聞き上手になることから始めよう。

①聞く力のある人は、楽しい話のネタをたくさん持っている。だから話も上手。

②聞く力のある人は、相手に合わせた話し方ができる。だから人と仲よくなるのも上手。

③聞く力のない人は、一方的に自説を述べる。だから相手と意見が衝突する。

④聞く力のない人は、相手を知る機会がない。だから人間関係が深まらない