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【—コラム—】 ヒステリックな話し方をする人ほど、じつは有望株?

恥ずかしそうに話している人を見て「気が小さそうだな」という印象を持つ人もいるだろうが、「かわいらしい」「親しみが持てる」という好印象を持つ人もいる。話し方が人にどのような印象をあたえるかは、相手のとらえ方によって違う。

ところが、これはもう百人中百人に好ましからざる印象をあたえてしまうだろう話し方がある。感情的な話し方だ。精神科ではヒステリーといっている。思うようにならないことがあると、すぐに感情を爆発させて「ヒーヒー、ワーワー」となる。ヒステリーを起こしやすい人の特徴的な性格は目立ちたがり屋で、野心が強く、がむしゃら。

じつはこれは決して悪いことではなく、世の中で成功する人には、このタイプは珍しくはない。ただ、ひとつ条件がある。自分をコントロールする力を身につけることだ。カッと頭が熱くなって話し方が感情的なものになりそうになっても、気持ちを静め理性を取り戻した話し方ができるかどうか。それが人望を得る条件だ。

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35  気まずい沈黙は、話し手が悪いのか聞き手が悪いのか

ふと会話が途切れ、なんだか、気まずい空気が流れ出す、といったことがある。その原因の半分は聞き手のほうにもあるのではないか。

会話とはリズムだ。卓球の球を打ち合うようにして、ポンポンポンと言葉が行き交うから話がはずんでゆく。

人の話を聞いているのか聞いていないのかわからないといった態度、あさっての方向を向いたまま視線を合わせようとしない態度、いかにも「くだらないこといってるなあ」といいたげな態度…そんな聞く側の態度が、話し手のほうの話のリズムを狂わし、気まずい沈黙が生まれがちになる。

講演をするとき、「きょうのお客さんは、なんだか、無関心な人が多そうだ」と感じたときは、話をしづらい。言葉をトチったり、何を話したらいいのかわからなくなって口ごもってしまったり、そういう失敗も起こる。一方、「みなさん熱心に、こちらの話を聞いていてくれるな」という雰囲気が伝わってくるときは、言葉が流暢(りゅうちょう)に口から出る。

会話が途切れたり、気まずい空気が流れ出したりするのは、なにも話し手が口ベタだからということにすべての原因があるわけではない。口ベタな人であっても、聞き手のあいづち、視線、表情、うなずきによって、会話をはずませることができる。

【話し方のツボ】気まずい沈黙を避けるために聞き上手になろう。

①無関心な態度ではなく、適度なあいづちを打ちながら話を聞く。

②あさっての方向を向いているのではなく、話し手と視線を合わせて話を聞く。

③無表情でいるのではなく、話に合わせて表情豊かに話を聞く。

④からだを強張らせているのではなく、適度にうなずきながら話を聞く。

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36「なぜかしら」で話がはずみ、「あ、そう」で話が終わる

人の話を聞くときは、立場の上下に関係なく、旺盛な好奇心を持って耳を傾けることだ。

「きのうの夜、ミステリー小説を読み始めたら眠れなくなっちゃって、朝までかかって一気に読み通しちゃったんですよ。だから、きょうは寝不足で」という後輩の話を好奇心を持って聞いていれば、「へえ、どんなストーリーなの」「主人公は、どんな人」「舞台は現代? それともむかし?」などと話は、はずんでゆく。

ところが好奇心のない人は「あ、そう」と、そこで話を終わらせてしまうのだから、話し手もガッカリだ。もっと聞いてほしいのに。

話をはずませる上で大切なのは、「どうして」「どんなふうに」「なぜ」といった聞く側の疑問である。

好奇心のある人は、会話の中で、この疑問を効果的に投げかけることができる。

「どう」「なぜ」と問いかけるのは、「私は、あなたの話をおもしろく聞いていますよ」という意思表示だ。それがわかるから、相手も興が乗ってくる。ふたりの会話が盛り上がってゆく。

会話はキャッチボール、「あ、そう」で話を終わらせてしまうのは、投げ返さないどころか、相手のボールを受け取りもしないのと同じことだ。話がはずまないどころか、「なんだか感じが悪い人」という気持ちを植えつける。疑問符を上手に使おう。

【話し方のツボ】「なぜ」「どうして」という疑問を上手に使って話を盛り上げる。

①無関心でいるから、話がはずまない。好奇心旺盛に話を聞けば、会話は盛り上がる。

②「若い人のいうことは青臭い」と決め込まない。若い人から、いまの感覚を学ぼう。

③「年上のいうことは時代遅れ」と決め込まない。年上から、経験の知恵を学ぼう

④「あ、そう」で話を終わらせるのではなく、「なぜ」「どうして」で話をはずませる

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37  答えになっているようでなっていない、こんな受け答え方

ネクタイ売り場で、店員さんを呼んで「ぼくぐらいの年代でしたら、どんな柄のものが売れているんですか」と聞くと、「その方その方の好き好きですから、お好きなものをどうぞ」という返事。

居酒屋で、酒のつまみは何にしようと「きょうは何が、おいしいの」と聞くと、壁の貼り紙を指差して「あれがきょうできるものですから、どうぞご自由に」という返事。

「お好きなものをどうぞ」「どうぞご自由に」…ともによく耳にする言葉だが、どうも印象が悪い。言葉遣いは丁寧なのに、その内容は冷たく、「お話しすることは何もありません」と拒否されるような感じ。

「何が」と聞いているのだから、「そうですねぇ、お客様の年代には、これがよく売れますね」「きょうのおすすめは、サンマでしょうか。塩焼きはいかがでしょう。」といえばピントの合った答え方になるが、「お好きなものを」「ご自由に」というのでは答えになっているようで、じつは答えになっていない。

親切心が足りないから、ピントの合ったいい方ができない。親切心があれば、相手が求めているものをきちんと伝えることができる。相手の立場に立った受け答えができる。

あるいは、プロとしての知識がないために、きちんとした対応ができないのか。と、すればこれは、上司の指導に問題があるのか、当人の自覚をうながすしかない。

【話し方のツボ】「お好きなものを」「ご自由に」という不親切な受け答え方はダメ。

①「お好きなものを」ではなく、「こんなものが人気があるようです」と。

②「ご自由に」ではなく、「これはいかがですか」と。

③じつは知識がないから「お好きなものを」「ご自由に」としかいえなくなる。

④相手の意向、好みをよく聞き取って、それに適応した答え方をしよう。

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38 人の言葉を言葉通りに聞き取るのは、こんなにむずかしい

「いま働くことがすごく楽しいんです。結婚ですか? 結婚は、まだいいですね。いまは結婚よりも、仕事のほうを大切にしたい」というふうに聞いたAさんは、Bさんに「彼女はそういっているけれど、ほんとうは恋人ができないんだと思う。彼女って、ちょっとわがままなところがあるから」といったふうに話す。するとBさんは、「彼女ってわがままで、人とトラブルを起こすことがよくあるらしいわよ」と、だれかに話す。するとまただれかがだれかに…と、人の噂話にはとかく尾ひれがつく。

人は、人の話を言葉通りに受け取るわけではない。悪意があるわけでもないのに、どうしても、そこに自分なりの解釈が加わる。

その解釈が的を射たものであればいいが、的外れなものになることのほうが多い。それを第三者に伝えたりするのは、トラブルのもとだ。

「部長は火曜日までにやっておいてくれっていってたけれど、たぶん水曜日になっても、だいじょうぶなんじゃない」などといえば、それを聞いた人は

「部長は水曜日までにやれといっていたんだな」と解釈してスケジュールを組む。あとで、その人は「どうして火曜日までにやっておかなかったんだ」と部長に怒られ、

あなたはその人から「話が違うじゃないの」と文句をいわれ、責任問題に発展することもあるだろうから、アブナイ。

人の話は、ヘタな解釈など加えずに聞く。だれかに伝えるときには、聞いた言葉通りに伝えよ、ということだ。

【話し方のツボ】人の言葉に勝手な解釈を加えると真実を見誤る。

①「この人はこういっているが、じつはこうなんだ」の勝手な解釈がトラブルのもと。

②「△△は~といっていましたけれど、思うに」ではなく、人の言葉は言葉通りに伝える。

③人の言葉を深読みし過ぎると、的外れなことになる。

④人の言葉を勘ぐると、自分がケガをすることが多い。