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button-only@2x 頼み事をするときは、「お金のこと」をはっきりさせる。

もうひとつ、お金のことも明瞭にしておきたい。

ある人が仕事先から、「すぐに大阪まで主張してほしい急ぎの用なので」といわれ、飛行機に乗った。帰京してから交通費の清算をすると、その会社の社内規定では大阪より先は飛行機に乗ってもよいが、大阪までは新幹線の普通料金分の交通費しか出ないのだという。泣く泣く差額を自分で払うハメになってしまったそうだ。

あるフリーのジャーナリストが、雑誌社から「この件について、調べておいてよ」と頼まれ、資料を集めたり取材をしたりでそれなりの経費がかかった。それが後日

「企画がボツになったから、もう調べなくていい」という。これまでにかかった経費については「ボツになったんだから、会社に請求できない」という答え。「冗談じゃないですよ。もうあそことは仕事はしない」と怒っていたが、その気持ちはわかる。

仕事を受けたときに、先にお金のことを確認しておかなかったほうが悪いといわれればそれまでだが、立場上お金のことを口にしにくいこともあるだろう。お金のことは、お願い事を出す人のほうから事前に説明をしておくのが、世の中のルールなのではないか。

金の恨みは怖い。怖い恨みを買わないためにも、十分に説明しておく必要がある。

【話し方のツボ】頼み事をする人がお金のことを説明する。

①必要経費がかかるときには、事前にしっかり説明しておく。

②「取りあえず自腹を切っといて」ではなく、「前払いしておくから、後で精算して」。

③仕事が終わってからも、お金のことはあやふやにしない。きっちり清算する。

④お金のことがきちんとしていない仕事はトラブルのもと。

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28 得をする人の頼み方、なんの特にもならない頼み方

頼み事をするときに、何のために、「これをやってほしい」と、きちんと話しておくか、ただ「これ、やっといて」だけですましてしまうか。どちらの話し方をするかによって、結果には大きな違いが出てくる。

「これ、やっといて」では、おそらく相手は「これを、やっとく」だけで終わるだろう。しかし「何のために」を説明しておけば、それ以上のことが期待できる。

「来週の月曜、営業所に社長がお出になることになってね、会議を開くことになったんだ。社長に報告しなければならないから、今年度の販売実績の資料をつくっておいてほしいんだ」といっておけば、指示されたスタッフは資料をつくっておくだけではなく、会議室をきれいに掃除しておいてもくれるだろう。

会議を終えてから、どこかで慰労の宴会をということになるかもしれないから、お店の目星もつけておいてくれるかもしれぬ。

しかし「今年の販売実績の資料をつくっておいてくれ」だけでは、命じられたほうは記憶に残らないこともあり、当日になって「あ、忘れてました」となる危険性も高まるのではないか。

「何のために」がわかっていれば、様々な創意工夫をしてくれる。その仕事の重要度を自分なりに判断し、最優先に取りかかってもくれるだろう。また目的意識がはっきりすることで、やる気や意欲もかき立てられる。

【話し方のツボ】「これやっといて」と命じるときは「何のために」も説明しておこう。

①「何のために」という目的意識を持たせることで、部下の創意工夫が生まれる。

②部下がイエスマンになってゆくのは指示の出し方が悪いから。

③「あの人は気がきかない」と怒るのはやめる。指示の出し方が悪いのかもしれないから。

④「こうしたほうがいいんじゃないですか」といわれるのが、指示の出し方がいい証し。

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29 人間関係は、「断り方」で決まる

人からのお願い事に、ときには断らなければならないときもある。さて、どういう断り方がいいのか。

お願いする人からみれば、、ノーといわれるのは仕方ないにしても、「どうして断るのか」を説明することなく、「ダメダメ、そんなことできないよ、それじゃあ…」と席を立たれたのでは、「あんな人に頼むんじゃなかった」と後悔する。

同じくノーといわれるにしても、「いま、どうしても時間が取れなくてね。というのも…」と、その理由を説明してくれるのであれば、それほど悪い印象を持つこともなく「それじゃあ、しょうがありませんね」と、軽い気持ちでいられる。

「ノーという」ことが発端になって、人間関係が「ギクシャクするようになった」というケースも多いようだが、たいがいは断り方が悪い。このひと言が、往々にして

「あの人って、自分勝手な人よ」「イヤな人ね。つき合いたくないね」と陰口のネタにされることもある。ぞんざいに断るのではなく、誠意を尽くして断れば、そうはならない。

口頭で断るときもあるが、書面で断る場合もある。パーティーや結婚披露宴への出欠を丸をつけて通知するようなとき。そんなときも「欠」の理由を簡単に書き添えておくほうが、印象はいい。

【話し方のツボ】断り方ひとつで人間関係にヒビが入る。誠意を持ってノーといおう。

①即座に断ってしまうのではなく、まずは相手の話は最後まで聞いてからにする。

②「できない」だけで突っぱねるのではなく、できない理由を話して納得してもらう。

③「頼むんじゃなかった」ではなく、「仕方ないわね」といわせる断り方を。

④ハガキで断りの通知をするときも、その理由を書き添えておこう。

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30 約束した覚えはないのに、「約束したじゃないの」といわれる人

イエスなのかノーなのか、はっきりいわない人は「私がノーといってしまったら、がっかりするんじゃないかしら。がっかりさせてしまうのは申し訳ないし」と、その人なりに気を遣っている。

しかし、よけいな期待を抱かせるのも罪だ。「やってくれるんだ」と思わせ、あとになって「よく考えたんだけど、やっぱりできそうにないの」などといったら、「約束と違うじゃないの」となってしまう。あなたとすれば「約束なんてしなかった」ということかもしれないが、それが人の心というものだ。

ノーというべきときには、その場でノーといっておくほうが、のちのち禍根(かこん)を残すことはない。もしその場で返事ができないときには「少し考えてみるけど」に、「でも、あまり期待しないでいてね」とつけ加えておくこと。

いくら断っても、しつこくいい寄ってくる人には、「冷たさ」を持って、話を打ち切ってしまうのがよい。「いくらお願いされても、いい返事はできないの。もう、この話はこれで終わりにしましょう」と。いずれにしてもイエス、ノーをあいまいにしておくのは、よけいな誤解をあたえ、トラブルを招く。

【話し方のツボ】イエスかノーか、はっきりいおう。よけいな誤解を招くだけだから。

①返事の先延ばしはダメ。断るのであれば、その場で断る。

②相手によけいな期待を抱かせる断り方ではなく、はっきり「できません」という。

③はっきり断るほうがシコリは残らない。あいまいにするからシコリが残る。

④ずばり断れないときは、自分の苦しい状況を説明し間接的に断る。