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button-only@2x 「ありがとう」「おかげさまで」が、自己アピールになる

少し厚かましいくらいに自己アピールをしていかないと、いまの世の中では生き残っていけないのだという。とはいいながら、その按配(あんばい)がむずかしい。「少し」を過ぎれば、周りの人たちに眉をひそめられ、知らず知らずのうちに遠ざけられてしまうのが実態だろう。

謙虚さの美徳は根強く残っている。強烈な自己主張が、ときに「厚かましさ」と見られ、敬遠されてしまうのは致し方ないのだろう。自己アピールするにしても、謙虚さをどう演出するか。これがコツだ。

たとえば、部長に昇進したとき。

「私の実力からいえば、当然ですよ」と少しでも胸の内で思ったら、それが事実であったとしてもその気配は相手に伝わってしまうことが多い。ここは「おかげさまで部長になることができました」と、心からいっておきたい。自分の実力でというのではなく、みなさんに推挙されたおかげでといういい方である。「今後とも、ご指導ご鞭撻(べんたつ)のほどを」とつけ加えておけば、なおさらよい。おごり高ぶる人は、何かと足を引っ張られる。控えめにしている人は、あと押ししてもらえる。どちらが得か。

いつも「ありがとう」「おかげさまで」という言葉を、たくさん使うよう心がけること。それが、おごり高ぶった気持ちを消し去り、謙虚な気持ちを自然に身につけるコツである。「実るほど頭(こうべ)をたれる稲穂かな」。人も、そうありたい。

【話し方のツボ】「ありがとう、おかげさまで」という気持ちを話し方に込めよう。

①晴れがましい出来事は「私の力で」ではなく「みなさんのおかげで」という話し方。

②「みなさんのおかげで」という自己アピールの仕方のほうが、人の心には印象が強い。

③手を貸したことでも「協力してもらって、ありがとう」という話し方。

④人に支えられているという気持ちを、話し方に表そう。

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15 自分の非を認めようとしない人は、同じ失敗を繰り返す

「自分は正しい」といって譲らず、あくまでも「悪いのは、あなたのほうだ」と、責任を一方的に押しつけようとする人がいる。

「ぼくらの関係がうまくゆかないのは、君が悪いからじゃないか。ぼくはぼくなりに努力したんだ。それなのに君は、いったい何なんだよ。君とは、もうこれ以上、やっていけないよ」と彼女を悪者に仕立てて、自分は涼しい顔。

責任転嫁の矛先は、人間であるとはかぎらない。「こんな会社、辞めるしかありませんよ。いくらがんばったって、いっさい認めてくれないんだから。もうやってられないっていっているんです」と勤め先を一方的に悪者にして、どこ吹く風。

どちらにしても「自分にも至らぬ点はあったとは思いますが」とはいわない。

絶対に自分の非は認めようとはしない—このようなアピールをする人は、同じ失敗を繰り返す。人との関係もすぐにだめになったり、履歴書の職業欄が足りなくなるほど転職を繰り返したり。どこまでも我を張るのだから、周りの人たちに受け入れてもらえない。

周りが変わらないことに不満を持つのではなく、自分を変える努力をしてみよう。それが心の中の不満を解消するコツである。また一方的な話し方で孤立してしまうことを回避する処方箋である。

【話し方のツボ】人を一方的に避難するのではなく自分の至らなさも認めよう。

①うまくゆかないのは「あなたが悪い」のではなく「私の力不足で」という話し方。

②人に反省を求めるときは、「私も反省すべきことはあるが」と前置きしてから。

③相手の欠点を糾弾するのではなく、「こうしたほうがいい」とアドバイスするつもりで。

④転職や人とのトラブルを繰り返す人、話し方に問題あり。自分の非も認めよう。

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16 内輪の話を楽しむ人は、自分のポジションを確立したい

同じ席にそれとは関係ない人がいるというのに、「きのうの人、ヘンな人だったよねえ。あれはないわよ、ねえ。あんなことするんだもの」と、二人、三人だけで盛り上がっていることがある。昨晩、職場の帰りにどこかへ飲みにいって、そこで出会った人物のことらしいが、ほかの人にとってはチンプンカンプンの話。

説明はいっさいなしに、自分たちだけで盛り上がったのでは、「話についてこられない人は、あっちいけ」といいたげな話し方になろう。

なぜ、わざわざ内輪話をしたがるのだろう。みんなでいるときは、みんながわかる共通の話題で盛り上がればいいではないか。

そこに隠れているのは、自己保身の心理ではないだろうか。たくさんの人が集まる場所では、仲間をつくって自分のポジションを確立して、安心したい。わざわざ大きな声で聞こえよがしに内輪話というのは仲間意識を強めるための、いわば道具のようなものだろう。

しかし、ほかの人にとっては、けっして印象のいいものではない。場合によっては、人の敵対心をあおる。二、三人で仲間意識を強めたつもりが、気づけばもっと多数の人たちから孤立してしまうことが多い。

【話し方のツボ】みんながいる前での内輪話は人間関係のルール違反。

①内輪話になったときは、第三者にもわかるように説明を交える。

②「関係ない人は、あっちいけ」という内輪話では、かえって自分が孤立する。

③人の集まりの中で派閥ができ上がるような話題は持ちださない。

④仲間同士との話し方と仲間以外の相手との話し方は、露骨に変えないようにする。

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17「私は関係ありませんから」で、人の心が離れてゆく

「午後の会議だけど、出席者は何人だったかしら」と人に聞かれて、「そんなの私、知らない」と突き放すようないい方をしていないか。

「今夜の晩ごはんのおかずは何にする。お魚がいい? それともお肉?」という問いに、「どうでもいいよ」といった投げやりな答え方をしていないか。

「日曜日に、この地区住民で児童公園の掃除を行います。参加願いたいのですが」と要請されて、「参加できません。関係ありませんから」ですましていないか。

(そんないい方をすることが、ときどきあるかも)という自覚がある人は、自分のイメージや評判を大いに損ねている。

「わからない」のは仕方がないとしても、「ごめんなさい」とひと言謝って「○○さんなら、わかるかもしれない。○○さんに聞いてみて」ぐらいのことはいってほしい。

魚でも肉でもどうでもいいのであれば、「君は、どちらがいいの。君の食べたいほうで、ぼくはいいよ」と、なぜいえないのか。

「関係ありませんから」ほど、冷たく響く断り文句はないだろう。

親身になる、相手の気持ちを思いやる、そういう心の態度で人に接するのも「明るい話し方」のコツだ。とかく投げやりないい方をする癖のある人は、ちょっと心が冷たくなっている。

【話し方のツボ】投げやりな話し方はやめ、親身な話し方をしよう。

①「知らない」ではなく、何でもいいから知っていることを伝えようとする話し方を。

②「どうでもいい」でなく、何でもいいから自分の気持ちを述べようとする話し方を。

③「関係ありませんから」ではなく、「いっしょに考えてみましょう」という話し方を。

④人間関係を終わらせてしまう話し方ではなく、発展させるための話し方を。

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18 同じ自慢話を繰り返す人は、人に疎まれてゆく

会うたびに、「いやあ、ぼくが、ゴルフでホールインワンを出したときは……」と、同じ自慢話をする人がいて、私も少々つらくなっている。

財産や権力を笠(かさ)に着たようなものは聞きたくないが、私は、自慢話をきかされるのは、それほど嫌いではない。趣味の自慢話などは楽しくなるものも多い。

私も旅好きのひとりとして、どこどこの秘境にいってきた、ふつうでは体験できないようなことを体験してきた、珍しいものを食べてきた、かの国の美女に「結婚してほしい。日本へ帰らないでほしい」といわれた…そんな話は聞いていて大いに好奇心をそそられるし、けっこう笑える。

しかし会うたびに同じ話をされれば、「その話、この前聞いたよ」と答えてもいいけれども話の腰を折るのも悪いから、いちいち「へえー、すごい」と驚き、初めて聞いたふりをしなければならぬ。「自慢できることは、これしかないのかしら」と、かえって哀れに思えてくる。「また今度、会いましょう」といわれても、敬遠したくなる。

ひとつの自慢話をいつまでも繰り返す人は、たぶん、あまり成長できないでいる人なのだろう。

「さて今度、あの人に会ったときは、どんな自慢話をしてやろうか。今回はパソコンを習得したことを自慢したから、次回は外国語を勉強して」

と、新しい自慢話のネタを増やすこと。成長する分だけ自慢話のネタも増える

【話し方のツボ】自慢話をするのはいいが会うたびに同じ自慢話をするのはやめろう

①財力や権力の自慢話をするのではなく、遊びの自慢話をする。

②自慢話をしたときは、相手の自慢話にも耳を傾ける。

③相手を見下した自慢話ではなく、お互いに切磋琢磨できるような自慢話をする。

④自慢話をするためにも、新しいことにチャレンジする。