【自分の家と心のメンテナンス】
日常での感動は、本当に身近なところでも得られます。もし、自分の家が持ち家ならば、その家と庭のメンテナンスだけでもずいぶんと手間も必要だし、その成果についての感動が得られるのです。
ふだん目が回るほど忙しい、という人は、家や庭の手入れどころではない、と言うかもしれませんが、家のさまざまな部分の状態を確かめることや、庭に植えた草花や樹木が、どんなふうに成長しているか見ることは、子どもの成長と同じくらいに充実感が得られるものです。
とにかく一日、なんとか休みを取って、自分の家と庭の状態をゆっくりと見る時間を設けることは、きっと意味があるでしょう。
家は、数年経つといろいろなところで修復が必要になってきます。流し台の修理とか、トイレの修理など、いろいろと手直しが必要になってくるのです。
そんなときに、家の修理を徹底的にしてみると、大変な作業ではありますが、自分の心にもプラスの効果があります。つまり、長い間、修理しないで放っておいたところを直すということで、自分がやるべきことを果たしたという達成感があるのです。
そんな作業ができるくらいの休暇が取れたら、家の修理とともに、改めて、仕事に対する比重と家族との時間の大切さとのバランスの問題を家族といっしょに考えてみるといいでしょう。
徹底的なメンテナンスをしてみると、結局、自宅の維持に関することは、修理に関しても、心の問題に関しても、とにかく間断なく問題が発生しているということもよくわかるでしょう。
とりあえず庭があれば、庭の維持に手間がかかるし、玄関まわりは草むしりが必要になり、樹木もある程度剪定(せんてい)をしなければうまく育たなかったり、隣の家のほうに伸びていってしまいます。家族の気持ちも放っておくとどこかにいってしまうのです。
そういう修理やメンテナンスは大変ではありますが、ふだんとは違った労働ですから、それ自体でなんとなく充実感も得られるかもしれません。
なにより、この作業なら、自分の家にいながらにしていろいろな感動が得られるので、とても経済的でもあります。
【少し先に楽しみを用意する】
–目標は先にあったほうがやる気が出る–
馬の鼻先にニンジンをぶら下げて走らせるというマンガのような方法がありますが、あの方法は、じっさいに活用できるともいいます。似たようなやり方はやりようによっては、人間に対してもある程度有効なようです。
人間も、先に楽しみや満足が確実に用意されていると思えば、現在の多少の苦労を我慢して、努力するものだからです。
会社での仕事がそれに近いものです。今の経済状況ではどんな会社も経営状態は「揺らぎない」というほどではありませんが、だれでもとりあえず会社から給料やボーナスがでることをあてにして働いているのです。家庭においても、家族のいろいろな問題を抑えるために、たとえば家族での旅行とか、レストランで食事などといった楽しみを少し先に設定して、ある目的が達成されるまでみんな我慢して頑張ろう、とする方法もあります。
経済的にも旅行の資金、おいしいもののための飲食代金などが溜まるまでは、我慢しようねと言ってみれば「おあずけ」の状態ですが、どんなことでも目的があると結構、みんな頑張れるものです。
これと同様に、ふだんの仕事でやる気が出ない、という人が会社内にいたら、ここは、会社に奮発してもらって、実績を上げた人にご褒美を用意するというシステムを用意するほうがいいでしょう。
だれでも、やる気が出ないことの主な原因は、努力しても報われない、認めてもらえない=お金にならないということです。努力して少しでも報われるシステムがあればだれだってやる気を出すでしょう。
それでは、どうすれば「やる気」を引き出せるのか。会社の事情が許せば、プロスポーツのMVP=最優秀選手のように、ある一定期間に会社にもっとも貢献した人に奨励金を出すといった方法が考えられます。
なにしろ、楽しいこと、ご褒美を日程的に先に送って、それを楽しみにしながらも自然流で生きることが一番ラクで積極的になれるでしょう。
どんな小さなことでもいいですから、仕事でも、プライベートでも楽しみを先に作って、つらさや苦しみは一時的なものだ、と考えるのです。
【思い出づくりを意識する】
— 人生とは思い出と満足感を得ること —
言われるまでもなく、家族とといっしょに過ごす時間は、思い出づくりのためと考えている人は多いでしょう。
自分で意識しなくても、夏休みや冬休みには、子どもが「日記に書くことをつくらなければならない」というので、なんとか時間をつくって動物園や水族館に行ったり、花火をしたりすることになります。それも確かに思い出になりますが、もっと身近なことでもいろいろな思い出にすることができます。
いちばんお勧めなのは、かわいい花を咲かせる植物を子どもと一緒に育てること。手間と時間がかかりますが、種から育ててうまくきれいに咲くと、それだけでひとつの感動が得られます。
できれば花は、アサガオのようなよくあるものではなく、自分でも聞いたことがないような珍しいもののほうがいいのです。というのも、子どもが日記に書くにしても、みんなが知っている花ではないほうが話題になるからです。
私の知人は、月下美人を育てていました。もちろん、種からというわけではありませんが、非常に美しい花を一晩だけ咲かせる植物です。咲くと新聞の地方版に紹介されるくらい珍しいものです。
花以上に面白いのが、どんぐりや食べた食物の種を植えること。どんぐりは、近所の林や公園などで拾ってきて、一晩水に漬け、沈んだものを浅く植えます。シイやクヌギ、コナラなどいろいろなどんぐりがあり、バラエティ豊かです。
食べた食物の種というのは、オレンジやグレープフルーツ、スイカなどのふつうは捨ててしまう種のこと。アボガドにも大きな種が入っていますが、鉢やプランターに植えれば芽を出して育ちます。
植えたどんぐりや種が忘れた頃に芽を出すのはこれも感動的です。芽吹くと毎日にように成長し、ある程度までは順調に伸びます。アボガドなどは、数か月で一メートルくらいの木に育ちます。庭に植えればひょっとすると実を付けるようになるかも、などと想像するのがまた楽しみです。
子どもと一緒にこうした植物の成長をながめることは、かけがえのない思い出になります。動物園に行くばかりが思い出づくりではないのです。