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button-only@2x 夢には「未知の脳力」を引き出す力がある

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夢というのは、不思議なものだ。

正夢という言葉がある。夢でみたことが現実に起こってしまうことだ。正夢にかぎられず、夢には通常の意識状態では感じることができないことを感じる力が何かしら存在するのではないかと、信じられてきた。

まぁ、あまりあまり予知能力や虫の知らせなど、超能力的なニュアンスをうんぬんするのは私の趣味ではないので、その真偽はおくが、夢には、日常生活の中ではなかなか感じることができない、人間の無意識の領域からの信号が含まれているということは、いっていいだろう。

フロイト、ユングに代表される深層心理学では、人間がふつう感じている意識は、意識全体からみるとごく一部分だとされる。

意識は氷山の一角である、その下には自分でも気づかない、膨大な無意識の領域があるというのだ。

眠りは、日常生活の意識が退いた状態だから、無意識の領域からのメッセージが届きやすいのかもしれない。

ノーベル賞をケクレにもたらした「夢の中の舵」

夢から何かのヒントを得たとか、問題解決糸口が見えたという話は多い

たとえば、イタリアの作曲家タルティーに、バイオリンソナタ「悪魔のトリル」という作品があるこの作品は、彼が見た夢がヒントになっているという。夢の中で、悪魔がある曲を演奏していて、そのメロディが、目を覚ましたあとも頭にしっかりと残っていたというのだ。

ノーベル賞を受けた化学者ケクレは、あるときこんな夢をみた

一匹の蛇が自分の尻尾をくわえてぐるぐるとのたうち回っているのだ。

この夢からケクレは、当時最大の難問であった「ベンゼン環の化学構造」を発見したといわれている。

ミシンを発明したハントは、針と糸のメカニズムで行きづまってしまっていた。ところがある晩、槍をもった敵に襲われる夢をみる、槍の穂先を見れ彼は、ハッとした。槍の穂の先端に穴があいているではないか。こうして、針の尻ではなく先端に穴を開けたミシンが世に出たという。

これらの例にみられるように、、夢にあらわれることは、現実の性格よりも独創的なものが多く、うまく利用すれば人生を開いてチャンスともなりうる。

ただ、夢というのは、非常に論理性がない。だから、ばかばかしいことがほとんどだ。

その一見ばかばかしい夢の中に、何かしらの意味をくみ出そうとした柔軟性と直感力のある人が成功したのであろう。

蛇の夢を気味悪がるだけでなく、そこに何かしらの意味をくみ出そうとした柔軟性や直観力が大きな発見につながったのだ。

アルファー波の効果を重く見る人たちは、夢を、次のように活用しているという。寝る前にリラックスして、アルファー波状態になり、問題解決のヒントを含んだ夢を見たい、と願望するのである。

音楽を聴いたり、簡単な瞑想をしながら、脳をアルファー波の状態にし、問題解決の糸口をつかみたいと願う。そして願いながら睡眠に入っていけば、ヒントのある夢をみることができるらしい。

すぐには、できなくても、繰り返しやっていくうちに、できるようになるという。

人間が夢をみているときの脳波は、アルファ波になっていることが多いらしい。一晩にレム睡眠とノンレム睡眠のセットは4~5セットだから、アルファー波も周期的に四ぐらい出てくる。

このアルファー波の周波数はかなり高く、役14ヘルツ。アルファー波の中でももっと高く、専門家は、これを睡眠紡錘波(すいみんぼうすいは)、スピンドルウェーブと呼んでいるそうだ。

     夢を現実化する「枕元の小道具」

こういう高周波のスピンドルウェーブを活用するために、枕元にメモ用紙を置く方法があるという。

夢を見て目覚めたら、すぐにその内容をメモ用紙に書きつけるようにするのだ。こうすることで、問題解決のヒントを含んだ夢をみようとする強い動機づけができる、漠然と願うのではなく、一歩踏み込んで「いつでも来い」という体制ををつくることで、願望実現の可能性を高くするわけである。

以前、テレビで、ある有名ホテルのコック長がこんなエピソードを披露しているのをみたことがある。

顧客から大事な客をフランス料理でもてなしてくれと頼まれた。これまでつくったことのないメニューを期待された。どんなメニューがいいのか、かなり考え込んでしまったが、ある朝、目覚めてみると、枕元のメモ用紙にフランス語がびっしりと書き込んである。自分には記憶がないのだが、深夜、無意識にメモしたのだろうという。そして、それが料理のメニューだったというのだ。驚いたことに、客の好みまでしっかり押さえたメニューになっていたらしい。

自己暗示、動機づけは、無意識の領域でこれほどのはたらきをするのだ。

「夢日記」をつける人もいるらしい。どんなささいな夢でも、覚えているうちに記述しておく。「コルクボード、砂漠の湿原、A氏満足」という程度の、自分だけにわかる箇条書きでいい。これを毎日続けていくと、夢がリアルになってくるというのである。

こうして夢を意識化する訓練を続けていく。

脳は起きているときだけ使うものではない。

眠っている間も、活性化できるのである。